2011年7月10日日曜日

わかるけど説明できない日本語

暑いときに、頭がわくようなはなしかもしれないけど、
”日本語教師”をしていると、外国人の学習者からだけではなく、日本人からも日本語について質問をいただくことがあります。

先日、ある専門学校の理事長K先生から、中国の大学で日本語を教えている中国人の先生から質問があったのだけど、正解はわかるがどう説明していいかわからないというメールをもらいました。
その内容は

私は父の病気( )心配です。ア、で イ、に ウ、が。
 ( )にどれを選びますか。なぜですか。

というもの。

正解は、もちろん ウ が ですよね。
日本人なら、だれでも正しい答えはわかるはず。
どんな言語でも、native speakerなら、間違いを指摘し、正しい言い方を示すことはできるはずです。
じゃあ、なんで日本語教師が専門職になるのかっていうと、
日本語教師は「なぜそうなるか」を説明することができるということなのです。

ところが、この、{説明する}というのは、案外手ごわいものです。いつも使っている言葉なのに、なんで説明できないのだろうと、初めて日本語教育に出会った人は壁にぶち当たります。
でも、それを乗り越えると、今度は言葉が面白くてたまらなくなる。
第二段階、【言葉のツボ】にはまってしまうのです。

ただ、今度は、それを教えるとなると、また、感じが違ってきます。
マニアックのように言葉を追求し、自ら楽しむ環境から、今度は”人”を相手に言葉を教える環境に変わります。目の前には、日本語を外国語として学習する人がいて、「なぜそうなるのか」を媒介後もままならない状況で伝えていくのです。

最初は、どうか、日本語を楽しく学んでください。難しいなんて言わないで、ついてきてください。と、祈るような気持ちで教えるのではないでしょうか。
「先生、友達と一緒に映画を見ました」は言えるけど、「田中さんと一緒に結婚しました」が言えないのはなぜですか?
「わたしはりんごをすきです」はだめですか?
「先生に、『手伝ってあげます』って言ったら、先生は変な顔をしました。手伝わないほうがよかったのでしょうか?」
こんな質問が次々と飛んでくるのですから。

さてさて、先ほどの質問ですが、どう説明すればいいのでしょうね。
今回は、学習者からの質問ではなく、日本語を教える立場の人からの質問なので、回答のしかたも教師向けに行ったほうがいいでしょう。

また、助詞の使い方は、日本語を学ぶ人にとってはとても難しいようですが、最初にそれぞれの助詞の基本的な性質を知っておくといいと思います。

あなたなら、どう答えますか?